犬猫を正しく飼うとは?
ペットを飼いたいのですが、これまで犬や猫を飼育したことがなく、どのように飼えば良いのかわかりません。飼う前に勉強しておきたいのですが、最近はインターネットなどで「ペットの適正飼養」というキーワードを目にする事があります。具体的には何に注意すれば良いのでしょうか?
まず、あなたが動物を飼える環境かどうかをもう一度考えましょう。
動物と暮らすということは、「人の心を豊かにし人生のパートナーとしてかけがえのない時間をもたらしてくれる」と想像されていると思います。その一方で、動物を飼育するということは、同時に「命に責任を持たなければならない」ということですので、自分が本当に最後まで面倒を見てあげられるのか、ということを始めにじっくりと考えることが必要です。
- 住まいはペット可ですか?
- 転勤の予定はありませんか?
- 飼いたい動物はあなたのライフスタイルに適していますか?
- ペットにかける体力・時間・費用は確認しましたか?
- 近隣の方への配慮はできそうですか?
上の全てをクリアできない場合は「飼わない」というのも立派な選択肢です。家にペットとして迎え入れなくても、愛護団体や当センターで動物飼養のボランティアを行うこともできます。
さて、ペットを飼う意思が確固たるものになったら、どこから迎えるかを検討しましょう。ペットショップだけでなく、ブリーダーや愛護団体、当センターから迎える事も考えてみてください。
実際にペットを迎え入れた後、犬は、「市町村への登録」と「狂犬病予防注射」が必須で、「鑑札」と「注射済票」の装着が義務付けられています。さらに、必ず繋ぐか脱走しない室内等で飼育しなければなりません。猫は、室内飼いをして事故や感染症の危険を回避してあげましょう。さらに、犬猫ともに飼い主名と連絡先を記入した迷子札とマイクロチップを装着すると、万が一迷子になって当センターに収容された場合にも飼い主さんに連絡がつきます。
また、不妊処置をしていないと、迷子になった時などに望まない妊娠をしてしまう可能性があります。新しい命が不幸になってしまいます。あらかじめ不妊処置をしておきましょう。不妊処置をすることによって、問題行動が抑制されたり、動物のストレスが減少することもあります。
健康管理をしてあげることも飼い主さんの責任です。定期的に動物病院にかかり、必要なワクチンの接種やノミ・ダニの駆虫をしてあげましょう。しかし、健康な動物でも、人に対して影響のある細菌やウイルスをもっています。ペットとは別の食器やベッドを使用し、キスなどの過度なコミュニケーションはしないでください。
次に、しつけを必ず行いましょう。しつけは人間社会で家族との関係を築く以外にも、近隣への迷惑を予防することに非常に役に立ちます。「無駄吠えの防止」、「甘噛みのコントロール」、「飼い主との地位の確立」は、住宅密集地では必須となるしつけです。動物の本能や習性を理解せずに、かわいがるだけの飼育を始めてしまうと、最終的に動物を不幸にさせてしまいます。
命を預かるのですから、有事の際のことも考えなくてはなりません。避難所にペットと避難しても、しつけや健康管理ができていないと、他人に迷惑をかけてしまいます。また、ケージの中でおとなしくしていられるようにすることは、避難の際に非常に役に立ちますので、日頃から準備をしておきましょう。
犬や猫を飼育する際は、他にも様々な注意点があります。
- 居場所は暑さ・寒さをしのげられるか。温度管理ができているか。
- 居場所は清潔に保たれているか。
- 床材は滑りやすいものでないか。危険な物を置いていないか。
- たばこや化学物質の影響はないか。
- 鎖に繋ぐ場合は、清潔にストレスなく過ごせるか。
- 室内にいても退屈しないように習性にあった工夫ができるか。
- 散歩の際は、糞尿をさせない。排泄した場合はすぐに処理し持ち帰る。
これ以外にもたくさんの注意点があります。動物は人より感覚が鋭いので、室内にある有害なものにはより注意しましょう。有毒植物、消臭剤、殺虫剤、たばこにも注意が必要です。たばこはそれ自体だけでなく、副流煙にも注意しましょう。人と同じように副流煙が健康に悪影響を与える可能性もあります。
このように、ペットを飼うということは、たくさんのルールが付きまといます。飼い始めたら、ペットを守れるのはあなただけです。ルールを守り、地域のモラルを考えて飼育すれば、周囲の人もあなたのペットをきっと好きになってくれます。そうなれば、ペットもあなたも周囲の人も、みんなが幸せになれますよ。
参考:住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン【環境省】